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関節リウマチの治療総論 第2回

生物学的製剤ってどんなくすり?

ミニ医学講座今、関節リウマチの治療薬として、生物学的製剤が注目されています。病態把握および遺伝子工学の進歩により、関節リウマチの炎症に重要なかかわりのあるサイトカインという物質を特異的にブロックする療法の開発が進んでいます。1990年代の後半から欧米においてサイトカインを標的とした生物学的製剤が登場してきました。そして日本においては、2003年にレミケードが、2005年エンブレルが関節リウマチ治療薬として認可されました。両方ともTNFというサイトカインの働きを抑えるくすりです。
その特徴は

1. 炎症や痛みを和らげるだけではなく、関節破壊の進行を止めます。

これが、最大の特徴といえます。
従来の抗リウマチ薬は炎症や痛みを抑えても関節破壊の進行を完全に止めることはできなかったので、生物学的製剤は画期的なくすりといえます。ただし、レントゲンの関節破壊の所見が若干改善したというデータもありますが、変形した関節が正常に戻るところまでは期待できません。

2. レミケードは点滴注射です。

初回、2週後、6週後の点滴以後は8週間隔で点滴します。導入時期は数日入院する場合が多いですが、外来点滴も可能です。
エンブレルは週2回の皮下注射です。
最初は週2回の通院が必要ですが、自宅での自己注射も可能です。

3. 生物学的製剤の副作用として重大なものは感染症です。

くすりの作用として免疫をおさえるので感染症にかかりやすく治りにくくなります。また、注射したときの発熱、発疹、エンブレルの注射部位の赤い腫れなど軽症ですが、よく起こります。

4. 治療費が非常に高額です。

保険の種類によってもことなりますが、高額療養費制度を用いたとしても初年度は大体30万円から40万円台かかります。悪性関節リウマチ特定疾患公費負担を受けている方、身体障害者1級・2級、社会保険加入団体の自己負担減免制度のある社会保険に加入している方は自己負担減免があります。

5. 誰でも効き目が現れるのですか。

とても高い薬ですが、残念ながら効果があらわれない患者さん、使用しているうちに効果が弱くなる患者さん、副作用で中止しなければならない患者さんも3割ほどいます(レミケード自験例)。しかし、効果は1回目、2回目の注射後から現れますので、数回注射してだめだったら早期に撤退することができます、レミケードが効かない場合、エンブレルも効かない、ということはなく、変更したところ効いたという患者さんが多いようです。エンブレルからレミケードへの変更も同様です。

6. いつまで続ければよいのですか。

治ってしまったかのように効き目があらわれたけれどいつまでつづければよいのか。お金もかかるし。残念ながら、まだ、いつまで続ければよいのかはっきりした見解は出ていません。